コラム
「スポーツのある人生」ニュースレター コラムのバックナンバーはこちらです。
「スポーツ科学系」内容のブログ記事はこちらにまとめています。
ご興味あればご覧ください。
Vol. 010 きちんと休息をとっていますか?
今回,私から皆様にお伝えしたいのは,
「休息の重要性」です。
まずは,こんなエピソードの紹介から始めましょう。
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ある製鉄所に,鉄を貨車に積み込むことを
仕事にしているある男がいました。
この男は,昼ご飯を食べる時間を除いては,
朝から晩まで休みなく働いていました。
この男が積み込むことができる鉄の量は,
1日だいたい12トンでした。
1日の仕事を終わると,
男はぐったりと疲れ切っていました。
同じ製鉄所に,同じ作業をしている
別の男がいました。
この男の仕事の方法は,
「時計を見ながら,一定時間鉄を積み込んだら,
また一定時間は腰を下ろして何もせず休む」
というものでした。
1時間当たりでは,26分働き,34分休んでいました。
この男が積み込むことができる鉄の量は,
1日にだいたい47トンでした。
1日の仕事を終えると,
男は朝と同じように元気な足取りで
家に帰っていくのでした。
(谷原 誠 : 超多忙な弁護士が教える時間を増やす思考法. フォレスト出版, 2020)
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さて,どんなことを感じられたでしょうか?
この2人の男の成果の差は約4倍にもなっています。
「持てる力を発揮する」
ということは非常に大切なのですが,
1日全体で考えた場合,
「適切な休息を挟んだほうが大きな成果が得られる」
ということがわかります。
もう少し直接的に言うならば,
「疲れる前に休む」ことこそが
大きな成果を挙げるコツだと
いうことになります。
おそらく皆さんも,疲れ切ってしまうと
回復するのにとても時間がかかってしまうことを
体感しているのではないかと思います。
このエピソードに出会って以来,
私自身も運動方法を変えました。
具体的には,毎朝行っているジョギングで,
「きつくなる前に走るのをやめて歩き,
しばらくしたらまた走り始める」
という方法に変えました。
これには次のような科学的な裏付けもあります。
私たちが身体を動かす際のエネルギー源には
「糖質(炭水化物)」と「脂質(いわゆる脂肪のこと)」
がありますが,スポーツ科学の観点から言うと,
「軽い運動では「脂質」が利用され,
きつい運動では「糖質」が利用される」のです。
よって,軽い運動を長く行うことで,
ダイエットのためになるべく体内の「脂質(脂肪)」を
消費させたいというねらいがあります。
この「脂質」についてもう少し説明するならば,
これはあまり知られていませんが,
餓死した人を解剖して調べると,
その体内にはまだ5%ほどの脂肪が
残っているそうです。
つまり,極限の状態になっても,
エネルギー源である「脂質」は
ゼロにはならないということになります。
その一方で,「糖質」は比較的簡単に
ゼロになってしまいます。
ならば,そう簡単になくなることのない「脂質」を
主なエネルギー源として使うことができれば,
長くそして楽に運動や日常活動ができると
いうことになりますね。
私自身も「休みながら走る」という
ジョギング方法に切り替えてからは,
朝のジョギングで疲れ切ってしまうことがなくなり,
「健康増進のための運動」と
「仕事や日常生活活動」を
無理なく両立できるようになりました。
さらに,心に余裕ができましたので,
とても気分よく毎日を過ごしています。
このように,適度に休息を挟み,
きつくなり過ぎないように
自分自身をコントロールすることが
理にかなった方法ということになります。
皆さんが実施しているトレーニングも同じです。
無理せず,休息を挟みながら,
長い時間をかけて実施していきましょう。
Vol. 009 「豊かさ」のために時間を使う
私は,いわゆる「お金持ち」の人たち
(特に世界トップレベルの大富豪)が
どのような生活をしているのかについて
情報を集めることがあります。
なぜならば,私が「お金持ち」になりたいと
思っているからというのはもちろんですが(笑),
「お金持ち」の人たちがどんなことを意識して
日々の生活を送っているのかが知りたいからです。
調べていく中で一番興味を惹かれたのは,
「『豊かさ』のために時間とお金を使う」
ということでした。
私たちが考える「豊かさ」とは
「高価な品物に囲まれて優雅な生活を送ること」
を想像してしまいますが,
実際にそういった生活を経験したお金持ちの人たちは,
この生活が意外と簡単に消失してしまうことを知っているため,
「自分にとって良い状態を継続できること」を
「豊かさ」だと認識しているようです。
したがって,良い状態を生み出す源泉となる
「自分自身の健康状態」を継続させるために
時間とお金を使うということでした。
具体的には,
適度な運動,栄養のバランス,適切な休養,
です。
大富豪のレベルが上がるほど,
これらを徹底しているということでした。
(逆に言えば,これらが徹底できない人は
大富豪である状態を維持できない
健康状態に陥ってしまうということでしょう…。)
やはり,どれくらいお金持ちになっても
「自分自身の健康状態」が
最も大切だということになります。
「豊かさ」の基準はいろいろあると思いますが,
その「豊かさ」を継続的に享受できる
「健康状態」にしていきたいものです。
ここで皆さんに改めてお薦めしたいのは,
「自分自身の体調を整えるために時間を使う」
ということです。
あえてお金を使う必要はありません。
一日の中のある時間帯を
「自分のための時間」として宣言し,
家族を含めた自分以外の誰にも
邪魔されない時間を確保しましょう。
運動をしてもいいですし,
休養の一部として読書をしてもいいでしょう。
時間を守るのならば昼寝をしてもいいと思います。
自分が考える「豊かさ」のために使える時間を確保し,
そのためにじっくり時間を使いましょう。
ちなみに私は,毎朝1時間ほど確保しています。
5:30頃に起床し,片道10分の近くの大きな神社まで
ウォーキングをし,その神社で家族の幸せと
私自身の仕事の成功をお祈りします。
その後自宅でシャワーを浴びながら
肌の手入れを行っています
(体調不良がすぐに肌に出ますので…)。
往復のウォーキング中には,
仕事や生活における様々なアイディアを
練っています。
この時間のおかげで,
その日1日は頭の回転が良くなりますし,
体調の管理もできます。
私にとって最高の時間です。
さあ皆さんも,
「『豊かさ』のために時間を使う」,
「自分自身の体調を整えるために時間を使う」
ということを試してみてはいかがでしょうか?
Vol. 008 今の行動が未来の健康を創る
興味深い論文内容がありましたので,シェアしたいと思います。
300名の研究対象者を以下の3条件に分け,
自由に買い物をした時に選んだ食品の内容に差が生じるかを
調べたというものです。
・一般的な健康情報を受け取った人
・個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人
・全く情報を受け取らなかった人
「具体的な健康情報」とは,
「生活習慣病の発症リスクや,
そのリスクを最小限に抑えるための
食事や健康に関するわかりやすい情報」
とのことです。
この結果,
「個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人」よりも
「一般的な健康情報を受け取った人」のほうが,
不健康な食品を選ぶ割合が34%も低かったとのことです。
また,「個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人」と
「全く情報を受け取らなかった人」の差は
みられなかったとのことです。
この結果から,
「個人に合わせた具体的な健康情報を受け取った人」の
ほとんどは,自分の健康状態が予想よりも良かった場合に,
健康については意識しなくても大丈夫だという考えに
なってしまったのではないか,と分析していました。
この内容は,食品の選び方だけでなく,
他の様々なことにも同じことが言えるのではないかと
思います。
健康の維持・増進には「栄養・休養(睡眠)・運動」の
3つが重要だと言われますが,
現在の健康状態を作り出しているのは,
少なくとも3ヶ月前の「栄養・休養(睡眠)・運動」に
関する自分自身の行動です。
つまり,「今の健康状態が良い」ということは,
「3か月前の行動が良かった」ということに過ぎないのです。
それなのに,「健康については意識しなくても大丈夫だ」
という考えになってしまうのは,大きな勘違いです。
そして,この「大きな勘違い」をしてしまう人が
非常に多いということです。
『知らず知らずのうちに「大きな勘違い」をしてしまっている』
ということを,私たちは認識するべきでしょう。
認識するだけでも,
私たちの行動は大きく変わるのではないでしょうか?
「運動習慣」や「体力」,これによって構築される「健康」に
ついても,全く同じです。
未来の健康のために,未来の自分のために,
体力の維持・増進(=健康の維持・増進)を
コツコツと続けていこうと改めて感じました。
Vol. 007 健康でありたいと意図することの重要性
もうずいぶん昔の話になりますが,1986年1月にテレビ東京系で
「運動すると身体はこうなる」という特集番組が放映されました。
この番組の中で,非常に興味深い実験がありましたので,
みなさんにお伝えします。
4名の健康な若者(男性)に,
25日間のベッドレスト(寝たきり生活)をさせ,
その前後で身体がどのように変化するのかを調べたのです。
今では倫理的な問題でほぼ実施できない実験ですので,
非常に貴重な映像です。
(この実験は国内トップレベルの
スポーツ研究機関の主導で行われており,
安全は確保されています)
さて,その結果です。
ベッドレスト前後の身体機能を比較すると
以下の結果となりました。
・筋肉↓ …特にももの筋肉の大幅な減少
・心臓の容積↓(11~18%) …心臓が小さくなる
・最大酸素摂取量(全身持久力の指標)↓(10~12%)
…全身の細胞が酸素を使う力の低下
・基礎代謝量↓ …エネルギーを作り出す量の減少
・尿成分:カルシウム排泄量↑,リン排泄量↑
…骨がもろくなる
・皮下脂肪↑
わかりやすくまとめると,こうなります。
・身体を動かさないので,筋肉は必要ない。
・身体を動かさないので,血液を大量に全身に送る必要がない
(=心臓は小さくてよい)。
・身体を動かさないので,エネルギーを作り出す必要がない
(=身体の細胞が酸素や栄養素をあまり必要としない)。
・身体を動かさないので,身体を支える骨は弱くてもいい
(=カルシウムを骨にためておく必要がない)。
・身体を動かさないので,摂取したエネルギー源が余る
(=脂肪として蓄積されてしまう)。
非常に極端な内容の実験であるが故に,
身体を動かさない生活によるマイナスの影響がよくわかります。
つまり,
身体を動かさない生活に最適な身体になる=「省エネな身体」になる
ということです。
私たちには「恒常性(ホメオスタシス)」という
「生命維持のために最適な状態にする機能」が備わっていますが,
この働きによるものです。
つまり,私たちが身体を動かそうとしないならば,
エネルギー消費を最小限にし,
生き永らえることだけに特化した身体を作ってしまう,
極論を言うならば,
「植物状態」として生きていくのに最適な身体
を作ってしまうということです。
この状態は,皆さんにとって幸せでしょうか?
逆に,私たちが身体を積極的に動かし健康的であろうとするならば,
「恒常性」はこの意図に沿って働き,
身体を十分に動かすことができる状態(上記の実験結果とは逆の状態)
を作ってくれるでしょう。
さて,皆さんは,どのような意図を持ち,
その意図をどんな行動にして「恒常性」に訴えかけていきますか?
自分はどうなりたいのかを,改めて考えていただくきっかけとなれば幸いです。
Vol. 006 やはり「体力」は健康のために大事
2020年の9月9日(水)のNHK「ためしてガッテン」をみましたか?
「意外な寿命バロメーター! 握力で死亡リスクがわかっちゃう!?」という驚きの内容でした。
見逃した方のためにその概要をお伝えしますが,「握力が低下すると、様々な病気による死亡リスクが増加してしまう」という話でした。
具体的には,「握力が低いグループでは,男性・女性ともに脳卒中・心筋梗塞をはじめ,様々な病気による死亡リスクが高くなる」という内容です。
この「握力が低い」に該当する基準値は,
・65歳未満では,男性:39.5kg未満,女性:23.5kg未満
・65歳以上では,男性:29.5kg未満,女性:16.0kg未満
でした。
また,さらに興味深いことは,「直接握力を鍛えなくても,脚の筋肉や腹筋などのトレーニングを行うことで,握力の測定値が向上する」という点です(詳細は割愛します)。
実は私はこの放映前から握力に着目して情報を集めていたのですが,「様々な疾病による死亡リスク」以外にも,「下肢の運動能力」や「移動能力の制限」をある程度識別できることなども示されています。
これらを総合すると,「握力」そのものが健康状態に直接結びついているというよりも,「握力」は「全身的な体力」を反映しやすい項目であり,「全身的な体力」が「健康状態」に 関連していると解釈できます。
健康の維持・増進には,やはり「体力」が必要なのです。
私は「活力ある状態」つまり「何かを行うための余力のある状態」こそが「健康」だと考え,様々な講演でもお伝えしております。
単純に病気でないだけではなく,仕事に,家事に,趣味に,地域活動に積極的に関わっていける状態こそが「健康」だと思います。
だからこそ,健康で元気に活動を行うために,定期的に体力測定を行いながらトレーニングを行うことで,自分の健康状態の確認をしていくことが重要になります。
トレーニングの機会の確保とともに,体力測定の機会を定期的に確保することが望ましいと言えます。
しかし,現在では体力測定の機会が十分に提供されていません。
この分野への本格的な参入を考えているところです。
この活動を通して,「地域の健康ニーズに,スポーツで応える」ことができればと考えています。
Vol. 005 身体は私の「乗り物」
ある有名なスポーツ選手の言葉に,「身体は乗り物です」というものがありました。その選手が言うには,自分自身の意思で自由にコントロールできる身体は,自分を望み通りの場所へ連れて行ってくれるし,必要とする行動をとってくれるため,「自分」という存在を乗せている「乗り物」だと捉えているそうです。だからこそ,自動車や自転車などをメンテナンスするように,「乗り物」である「身体」を自分自身で時間(とお金)をかけてメンテナンスしていると言うのです。
これは,自分自身を深く理解した人しか言えない言葉だと思います。身体が「自分の思い通りに操作できる『乗り物』」であることへの「感謝」と,「自分で管理しなければならない『乗り物』」であることへの「責任」の両方の理解が必要だからです。特に,後者はなかなか理解しにくいと思われます。
みなさんはひどく疲れた時などに,どのような対応をしていますか? “寝ればなおるから大丈夫” と考えている人が多いと思います(若い頃の私もそうでした)。確かにこれは事実で,私たちの身体には「ホメオスタシス(恒常性)」という基本的な働きがあり,無意識下で常に身体を最適な状態に保っています。この働きのおかげで,私たちの身体は “勝手に(意識しなくても)” 元の状態に回復するのです。しかしこの回復力は,加齢に伴い低下します。歳を重ねるにつれ,次の日に疲れが残ったり,夏バテすることが多くなっているのではないでしょうか?
私たちの体力には「行動体力」と「防衛体力」という2つの側面があります。「行動体力」とは文字通り行動するための体力で,一方,「防衛体力」とは回復力や免疫力などの身体を守る体力のことを指します。回復力の低下は「防衛体力」の低下の現れですので,これを増強する必要がありますが,「防衛体力」の増強は「行動体力」の増強に伴うのです。つまり,やはりトレーニングが必要なのです。(←やっぱりそこか!という感じですね)
トレーニングを効果的に行うために意識していただきたいことは,「栄養」と「休養」です。「栄養」としては,身体の材料である「タンパク質」と,エネルギー源である「糖質」と「脂質」をきっちり摂る必要があります。「休養」としては,身体を修復する作用をもつ「成長ホルモン」を分泌させるために睡眠を十分にとることです。これらの上にトレーニングが成り立っているということを忘れないで下さい。
話が多岐に及びましたが,身体は自分の「乗り物」だと捉えると,身体は “いたわるべき対象” であることが実感できるのではないでしょうか? 「乗り物」である身体の “所有者のあなた” の責任として,トレーニングを続けてみて下さい。もちろん,無理のない範囲で。
Vol. 004 定期的な体力測定の意義
トレーニングがうまく継続できたにせよ,できなかったにせよ,あっという間に過ぎ去った期間を考えてみますと,それなりに大きな時間が確実に刻まれたことになります。つまり,確実に「自分自身の身体にも変化が生じた」ということになります。何もしなかった場合は「退化(加齢に伴う身体機能の低下)」が生じますし,何かしらの活動を行った場合は「その活動内容に合わせた変化」が生じています。基本的に現状維持というものはなく,体力測定によって数値化するとその変化が明らかになります。
なぜこんなことを改めてお伝えしているかというと,「自分自身の能力のアップデート(ここでは「現状の再認識」という意味)」が大切だからです。女子プロゴルファーの宮里 藍 選手がまだ現役だった頃の話ですが,彼女は大会当日の朝の練習ラウンドで数本ショットを打ち,その時の自分の状態を自分の100%だと認識した上で大会に臨んだそうです。たとえ悪い状態だったとしても,です。この100%を基に戦い方を組み立てるからこそ,攻めと守りの見極めの精度も高くなり,攻めたい場面でも守らなけらばならない場面でも,ショットの高い成功率を維持でき,大きくスコアを崩すことがなかったそうです。この現状認識とその活用は,私たちの健康づくりにも応用できますので,見習うべきです。
定期的な体力測定にて「自分自身の能力のアップデート(現状の再認識)」を行い,積極的に活用しましょう。体力・運動能力の向上または低下が見られた場合のいずれにおいても,その状態を現在の100%だと認識して下さい。その上で,今後の日常生活ではその現状の80~90%を常に使って下さい(これは,常に該当する能力を使うことでその能力の維持を狙うという「攻め」と,いざという時(例えば,転びそうになった時に持ち堪える)のために10~20%を残しておくという「守り」です)。加えて,トレーニングの場面では100%プラスアルファを発揮して下さい(これは,体力・運動能力を向上させるための,明らかな「攻め」です)。有効な「攻め」と「守り」を行うためにも,「自分自身の能力のアップデート(現状の再認識)」が必要不可欠なのです。定期的な体力測定は,今後に活かすために重要であることをご理解いただければと思います。
Vol. 003 ちょっと嫌なトレーニングを続けるコツ
さて,前回は「目的」と「目標」の違いを説明させていただき,皆様にとっての健康について考えていただきました。健康を手に入れた先に思い描く「目的」を見据えながら,健康という「目標」に向かって行動することの大切さ,つまり,“ゴールを明確にする”ことによって行動しやすくなることをご理解いただけたのではないかと思います。これは「大いなる理由(Big Why (ビッグホワイ))」と言われ,自らの習慣を変えるための一つの手法として用いられているものです。ただ,この方法がピッタリ当てはまる方もいれば,そうでない方もいらっしゃいます。今回は別の側面から,健康へ向けた行動を導くアプローチをしていきたいと思います。
私ごとで恐縮ですが,私は毎朝5:30頃に起床し,近くの神社までジョギングをすることを日課としております。気が付けば6年間も続けています。開始当初のジョギングの理由は,体力の維持と,神社にお参りをして私自身の仕事がうまくいくように祈願することでした。しかし,眠いのに加え,膝や足腰が痛む日もあり,ひたすら苦痛でした。現在ではほとんど苦痛を感じることもなく,雨が降っても濡れながらジョギングをするようになりましたが,その転機となったのが,お参りをする内容を「私と私の家族が幸せに暮らせますように。そして,私たちに関わって下さる全ての方々が幸せでありますように。」と変えたことです。後から知ったことですが,「人は,自分のためだけにやっていることには妥協するが,自分以外の誰かのためにやっていることは絶対に手を抜けない」という性質があるそうなのです(大好きな人とのデートのためのお弁当作りを徹夜で頑張ってしまうことを思い浮かべていただくと理解しやすいかも知れません(笑))。私自身の意識を「ジョギングという運動」ではなく「神社へのお参り」にすり替え,さらに,「自分自身のためのお参り」から「自分以外の誰かのためのお参り」にすり替えたことによって,「運動をしている」という意識を消し去ることができてしまいました。無意識とは言え,我ながらうまくいったと思っています。
つまり,いろいろなトレーニングをお薦めしていますが,この目の前にある「ちょっと嫌なトレーニング」に別の理由を付け加えたり別の事柄にすり替えたりすることで,目の前にある心理的障害を取り除き,実行しやすくできるということです。特に「自分以外の誰かのため」という理由を付け加えることによって,うまくいく可能性が高まると思います。工夫の余地はたくさんあると思いますので,いろいろ試してみて下さい。
Vol. 002 「健康」は何のため? 健康は目的?目標?
いろんなところで健康づくりに関する講演をさせていただくのですが,今回のお話にハッとさせられる方が多いようです。
「目的」と「目標」の違いはご存知でしょうか? これらは似ていますが,全く別のものを指しています。「目的」とは,「的(まと)」という漢字が含まれている通り,「到達地点」を指します。弓道やアーチェリーの的(まと)をイメージしていただくとわかりやすいと思います。一方,「目標」とは,「標(しるべ)」という漢字が含まれている通り,「通過地点」を指しています。“ここは〇〇(地名)”や“△△まであと30km”といった標識(ひょうしき)・道標(みちしるべ)を思い浮かべてみるとわかります。つまり,最終的に辿り着きたいゴールが「目的」であって,そこへ到達するためのいくつもの小さなゴールが「目標」ということになります。
みなさんにとって「健康」は,「目的」ですか? それとも「目標」ですか? 実は,「健康」を「目的」にしてしまっている人が意外にも多いのです。“健康になれば人生が変わる”とか“健康になれば幸せになれる”と考えてしまう人が多いのですが,「健康」が良い人生や幸せを与えてくれるわけではありません。健康になってもまだ逆戻りしてしまう人,そもそも健康にたどり着けない人が多いのは,この勘違いによる部分が大きいと言われています。
「健康」はあくまでも「目標」,つまり「目的」にたどり着くための手段なのです。では「目的」は何なのか? “家族全員で楽しい時間を過ごす”ことかも知れませんし,“富士山に登って雲海の写真を撮る”ことかも知れません。人によって様々ではありますが,健康な身体を使って初めてたどり着くことができる“こと”こそが「目的」だと言えるのです。私たちが一緒になって目指している「あなたの健康」の“向こう側”には何がありますか? 「あなたの健康」は何のために必要なのですか? 改めて考え,その「目的」を設定することで,「あなたの健康」へ向けての大きな力が生まれます。一度じっくりと考えてみて下さい。
Vol. 001 三日坊主の数珠つなぎ
健康づくりのためにトレーニングを始めようとする方も多いと思います。順調にトレーニングされている方もいらっしゃれば,なかなか続かないという方もいらっしゃるのではないかと思われます。今回は「新しいことへのチャレンジ」というテーマにて,ちょっとした情報をお送りします。
トレーニングを始めるということは,「新しいことへチャレンジ」することです。私はいろんな場面でトレーニングをお薦めする機会があるのですが,そこで参加者からよく出てくる言葉に「今までやったことないから,無理だ。」というものがあります。同じことを考えられた方もいらっしゃると思います。なるほど,と頷きたくなる部分もありますが,この言葉の意味をよく考えてみて下さい。「今までやったことがない」のは “過去の自分” のことです。つまり,「過去の自分のままこれから先も生きるつもりだから,新しいことなんか必要ない。」と言っているのと同じです。人生100年時代を迎えようとしている今日,過去の自分のまま何の成長せずに何十年も生きていくなんて恐くないですか? しかも,20歳を過ぎた全ての人の健康・体力にとっては “ 何もしない ” ことは “ 退化(低下)” を意味します。まだまだ続く自分自身の人生のために,小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか? 未来をただ待つのではなく,未来を創りましょう。
さて,「新しいことへのチャレンジ」としてのトレーニングですが,正直な話,毎日コツコツと頑張るのは意外と難しいです。実は私も苦手です。そこで,私がお薦めするのは「三日坊主の数珠つなぎ」です。「三日坊主」の言葉通り,誰でも3日間は何とか続けられますが,その後が続きません。ならば,もう1回「三日坊主」を始めればいいのです。3日間がんばって,1日休む,また3日間がんばって,1日休む…。これならば,1週間に6日間もトレーニングをしていることになります。すばらしいとは思いませんか? もちろん「二日坊主の数珠つなぎ」でも,もっと言えば「一日坊主の数珠つなぎ」でも構いません。休みながらでも長い期間続けることが大切です。気負わずに,気軽にやってみて下さい。